建物の断熱性能の指標とは?断熱性能が高いとどんなメリットがある?

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建物の断熱性能の指標とは?断熱性能が高いとどんなメリットがある?

これから戸建ての購入や注文住宅を検討している方は、快適に暮らせるように断熱性が高い建物を求めることでしょう。
夏の暑さや冬の寒さに対応した断熱性能で、外気の温度は遮断したいものです。
そこで本記事では、建物の断熱性能における指標と、断熱性能が高いとどのようなメリットが得られるかを解説します。

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建物の断熱性能等級とは?

建物の断熱性能等級とは?

快適に過ごすためには断熱性能が必要なのを知っている人のなかでも、等級が存在するということを初めて耳にする人は多いでしょう。
まずは断熱性能とはどのような意味なのかを把握し、詳細を見ていきましょう。

概要

断熱性能等級とは、住宅の品質確保の促進などに関する法律(通称「品確法」)で定められた指標です。
等級は1〜4まであり、性能の高さが高いほど、等級も高くなります。
等級4は建築物省エネ法と平成25年(平成11年)基準相当の指標を満たす必要があり、性能値を満たさなければ等級が下がる仕組みです。
等級3になると平成4年基準相当、等級2になると昭和55年基準相当を満たしているかが重要になります。
つまり、等級が高いのは技術の発展に合わせたもので、今後も等級は増えていく可能性があります。

判定方法

建物の断熱性能がどれくらいなのかを調べるために、外皮平均熱貫流率(UA値)を利用します。
外皮平均熱貫流率(UA値)とは、外皮総熱損失量を総外皮面積で割ったもので、建物の断熱性能が数値でわかるのが特徴です。
本来は基礎の数や外周の長さなどを調べて、複雑な計算式を使用します。
しかし、外皮総熱損失量は主に4か所の熱損失量を調べればいいため、算出はそこまで難しいものではありません。
熱損失量の4か所は屋根(天井)・壁・窓・床であり、さまざまな箇所が該当します。
とくに断熱材を入れていない床だと、損失する熱量は多いものです。

Q値との違い

外皮平均熱貫流率(UA値)の知識がある方からすると、Q値と混同してしまうことでしょう。
Q値とは熱損失係数を指し、建物の断熱性能を示すための値です。
建物から逃げる熱量を延べ床面積で割ると算出でき、1㎡でどれくらいの熱量が損失するのかがわかります。
熱損失量としてはUA値を表しますが、求める場所が異なるのが特徴です。
UA値は外皮の1㎡あたりを表し、Q値は床面積1㎡あたりを表します。
また、UAは換気による熱量の変化は含まれませんが、Q値は換気による熱量の変化は含まれるため、値を参考にするときは注意してください。

建物の断熱性能における「ZEH基準」とは

建物の断熱性能における「ZEH基準」とは

ZEHはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、「ゼッチ」と読みます。
いわゆる省エネに特化した建物で、戸建ての購入や注文住宅を検討している方は知っておくべき情報です。
省エネになれば無駄なエネルギーを使用せず、電気代などを抑えることができます。

ZEH基準

ZEH基準とは、高断熱化・設備などの高効率化・創エネルギーの3点を実現した、エネルギーの消費を抑えた住宅であるかの基準です。
省エネ基準よりも優れた基準であり、エネルギーの創出量と消費量の差をゼロにすることを目指すものです。
強化外皮基準の地域区分で見ると、エネルギーの創出量と消費量の差は、札幌などの地域は省エネ基準が0.46に対し、ZEH基準では0.4で、その差はマイナス0.06です。
顕著な数字が表れているのは東京などの地域であり、省エネ基準が0.87に対し、ZEH基準は0.6で、その差はマイナス0.27になります。
着実にゼロへと近付いており、ZEH基準が満たされた住宅が広まっていることが伺えます。

再生可能エネルギー

再生可能エネルギーも断熱性に関係があります。
太陽光発電などをおこなうことで、エネルギーの消費を抑えられます。
発電に限らず太陽の日射を建物内部に取り入れると熱量が変わり、断熱性が高い地域と低い地域で差があるのが特徴的です。
たとえば、ある地域は冷房期の平均日射熱取得率の基準値が3.0になっていて、遮蔽性能が高いことを意味します。
つまり、太陽の日射を遮る力が強く、外気の熱量が室内に及ぼす影響力が小さいと言えるわけです。
それに比べて、室内に及ぼす影響力が大きいのは沖縄県などの地域で、冷房期の平均日射熱取得率の基準値が6.7になっています。
エリア5の倍以上もある数値であり、日射の強さに建物の断熱性がまだまだ足りないといえるでしょう。

義務化

日本における断熱性能の基準は世界的に見ても低く、まだまだ改善の余地が十分あります。
とくにイギリスやドイツ、デンマークなどは基準値が高く、断熱性が高い住宅が多くあります。
日本でも基準の見直しがおこなわれていて、2021年度の義務化が見送られたものの、今後は義務化される可能性は十分にあります。
予定では2025年に等級4の義務化、2030年には新築住宅の平均でZEHの実現を達成するという目標で国が取り組みを進めています。
これから戸建ての購入や注文住宅を検討している方にとって、より快適な暮らしを実現できるでしょう。

建物の断熱性能における「HEAT20」とは

建物の断熱性能における「HEAT20」とは

HEAT20とは、2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会を指します。
由来は英語名から来たもので、Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 housesの略称です。
どのような断熱性における基準なのか、確認しておきましょう。

HEAT20

HEAT20は高気密高断熱を目指した団体で、建物の「外皮」と呼ばれる箇所について、断熱や遮熱などの性能の評価基準を設けています。
その評価基準にはG1・G2・G3と基準があり、数字が大きいほど高い性能を持っているのを表す指標です。
たとえば愛知県などの地域は、G1が0.56、G2が0.46、G3が0.26になります。
G3の方がよりゼロに近くなり、高い性能を保証できる高気密と高断熱があるといえるでしょう。
ちなみに平成25年省エネ基準だと0.87であり、日本の住宅性能の基準がどんどん上がっています。
寒冷地の環境にも耐えられる高い性能を担保できるほどの基準であるため、参考にしてみてください。

メリット

HEAT20の基準があると、具体的にどのような影響を生活に与えるのでしょうか。
もっとも実感しやすい効果であれば、電気代が削減できます。
数字で確認できるため、どれくらいの効果が発揮されているかを確認できるでしょう。
断熱性が高ければ室内の温度は保たれ、空気が外気に出ることはほぼありません。
そのため、冬でも暖かさが持続し、暖房をフル稼働させる必要がなくなります。
また、カビや結露の防止にも影響し、健康被害を抑えられるのが特徴的です。
感覚的には体感温度が高まったように感じ、快適な住環境で過ごせます。

室内全体が暖かい

HEAT20の基準における建物は、室内全体が暖かくなります。
一般的な住宅だと、一室だけ暖房で暖めて快適に過ごしますが、室外に出ると凍ったような寒さを感じるものです。
リビングからトイレやお風呂場に行く際、寒くて身体を震わせた経験はありませんか。
しかし、HEAT20の基準における建物だと室内全体が暖まり、暖房機能がない空間も快適に過ごせます。
そのため、暖房機器の使用を抑えられ、厚手の上着を着る必要もないでしょう。
ストレスも抑えられ、冬の寒さが厳しい地域におすすめです。

まとめ

建物の断熱性能には等級やZEH、HEAT20のような基準が設けられています。
冬の寒い日でも室内で快適に過ごせて、健康や節約を意識するうえで知っておくとよい指標です。
これから戸建ての購入や注文住宅を検討している方は、参考にしてみてください。

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